出展宝物紹介

?重要文化財 銅錫杖頭(どうしゃくじょうとう)
 鎌倉時代



 銅錫杖頭は、鎌倉時代に鋳造された2本の錫杖の頭部で、「建長三年(1251)八月一日」・「大勧進定阿弥陀仏」という銘が刻まれています。定阿弥陀仏とは、建保七年に長谷寺が火災で全山焼失した際に勧進聖として諸国を巡り、活躍した僧侶です。
 そもそも錫杖とは僧侶必須の持ち物であり、山野で修行をする時に音によって獣や毒蛇などを追い払ったり、托鉢の際に街中で来訪を告げる時などに用いられていました。
 長谷寺においては、ご本尊十一面観世音菩薩が錫杖を持つ特殊なお姿をしており、全国各地にもいわゆる「長谷型観音」と言われる同様のお姿の観音像が祀られています。また、朝勤行の始めに「九條錫杖経」という錫杖の功徳を讃えるお経を、シャンシャンという音色と共にお唱えしています。
 錫杖は長谷寺にとって特別な法具です。あべのハルカス美術館にお越しの際には、この銅錫杖頭が700年以上の長きにわたって守り伝えられて来たこと、そして今もなお錫杖の音が初瀬の山々に鳴り響いていることに思いを馳せてご覧いただければと思います。

 以上、5回にわたってあべのハルカス美術館に出展する宝物のご紹介をさせていただきました。「長谷寺の名宝と十一面観音の信仰」展には、今回紹介できなかった多くの絵画・仏像・工芸品等が他にもたくさん展示されます。普段ほとんど目にすることのできない宝物もございますので、ぜひこの機会に美術館へ足をお運び頂ければありがたく存じます。

あべのハルカス美術館
出展宝物紹介

?-1国宝 長谷寺装飾経(はせでらそうしょくきょう)
    鎌倉時代


 
?-2国宝 丸紋散蒔絵経箱(まるもんちらしまきえきょうばこ)
    室町時代



 長谷寺装飾経は、「法華経」28巻、「観普賢経」1巻、「無量義経」3巻、「般若心経」1巻、「阿弥陀経」1巻の計34巻からなる特別な装飾を施した巻子装の経典です。軸首に水晶や金銅の金具を用い、お経の書かれた料紙には金銀がふんだんに使われています。この装飾経の発願者や経を書写した者は明らかではありませんが、相当身分の高い人物であろうと推測されます。
 また、この装飾経を納める丸紋散蒔絵経箱は非常に美しく荘厳されています。三段重ねの箱の表面はそれぞれ三角形で分割されており、三種類の蒔絵の技法が各面に用いられています。さらに、金銀を用いたドーナツ状の丸紋を全面に散らしています。伝統的な意匠を引き継ぎつつも、現代に通じるような大胆なデザインが非常に特徴的です。
 装飾経・蒔絵経箱ともに華美な荘厳が目立ちますけれども、写経に込められた昔の人々の想いや信心、祈りの気持ちなどを想像しながらご覧いただければ幸いです。

あべのハルカス美術館
出展宝物紹介

?国宝 銅板法華説相図(どうばんほっけせっそうず)
 白鳳時代



 長谷寺の草創を語る上で最も重要な宝物が銅板法華説相図です。制作年は朱鳥元年(686)が有力ですが、諸説あります。
 板面の上部には、法華経見宝塔品(ほけきょうけんほうとうほん)の様子が浮彫りで刻まれています。経典を要約すれば、ある時お釈迦様が説法をしていると突然地中から大きな多宝塔が出現します。十方世界から諸仏が集まる中で宝塔の扉を開くと多宝仏が現れ、自らの座をお釈迦様に譲って法華経を説くよう勧めます。お釈迦様が説法を再開すると、多宝塔は遥か虚空へと浮かび上がるといった内容です。
 板面の下部には273字の銘文があり、塔を造ることの功徳、豊山(ぶざん・長谷寺の山号)の地が聖地であることなどが述べられ、最後に僧道明(どうみょう)が戌年の七月、80人を率いて天皇陛下の為にこの銅板を造ると記されています。
 銅板法華説相図は、美術資料・古代史資料・文字資料として今尚多くの研究が進められている、非常に価値の高い宝物です。いにしえの技術の粋を集めて造られた長谷寺最古の寺宝を、どうぞこの機会にご覧ください。

あべのハルカス美術館
出展宝物紹介

?重要文化財 雨宝童子(うほうどうじ)立像
 室町時代



 雨宝童子立像は、長谷寺のご本尊様の左側(観音様からみて右側)に祀られている脇侍様です。正式名を金剛赤精善神雨宝童子といい、赤精童子・石精童子とも称します。初瀬山を守護する八大童子の一人で、八大龍王と共にご本尊の足元にある大磐石(だいばんじゃく)を守護しています。また、伊勢神宮のご神体、天照皇大神としても信仰されています。
 観音様の使者として長谷寺の霊験譚に度々登場し、苦悩する人を導いたり病気で苦しむ人を救済したりする一方で、素行の悪いものには容赦なく罰を与えるといった厳しさも持ち合わせています。
 お姿は、袍(ほう)という上衣の上にガイ≪衤偏に蓋≫襠衣(がいとうえ)を纏い、右手に宝棒、左手に宝珠を持っています。お像の内部には天文七年(1538)に大仏師運宗等が造立したとの墨書きがあり、現在のご本尊と同時期に造られたことがわかります。
 難陀龍王像と同様に、展覧会への出展は今回が初めてとなります。普段は離れたところからでしか拝観ができませんので、あべのハルカス美術館ではお近くから整った顔立ちや美しい色彩をお楽しみ下さい。

あべのハルカス美術館
出展宝物紹介

本年2月6日(土)より3月27日(日)にかけて、大阪のあべのハルカス美術館におきまして「長谷寺の名宝と十一面観音の信仰」展が開かれます。当ホームページでは、展覧会開催に先立ちまして、出展宝物を数回に分けてご紹介させていただきます。

?重要文化財 難陀龍王(なんだりゅうおう)立像
 鎌倉時代



 難陀龍王立像は、長谷寺のご本尊十一面観世音菩薩の右側(観音様からみて左側)に立つ脇侍様です。古来より龍は嵐や竜巻の象徴として強大な力を持つといわれますが、難陀龍王は数多くの龍を統率する八大龍王の筆頭として仏法を守護する存在です。長谷寺においては、観音様のお立ちになる大磐石(だいばんじゃく)と長谷寺山内を護る善龍王として、また春日大社のご神体である春日大明神としても信仰されています。
 そのお姿は、唐風の冠と衣服を身に付けて頭上に龍をいただき、両手には獣の形をした岩を載せた盤を捧げ持っています。またお像の内側に墨書銘があり、正和五年(1316)に大仏師舜慶等によって造立されたことがわかっています。
 難陀龍王像が展覧会に出展されるのは、今回が初めてとなります。しばしの間、長谷寺の頼もしい守護神が初瀬の山を離れる事は心寂しい思いが致しますが、皆様にはぜひこの機会にあべのハルカス美術館で立派なお姿をご覧頂き、ご縁を結んで頂ければ幸いです。

あべのハルカス美術館

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