無印良品より「掃除 CLEANING」が出版され、長谷寺の朝の作務(掃除)の風景が掲載されています。

長谷寺では毎朝、砂利の線引き、掃き掃除、拭き掃除と境内を掃除しています。日常の何気ない掃除の風景が本になり、出版されることになるとは大変有難いことだと感じます。

「綺麗にする」この行為はその対象に愛着の念を抱かせ、大切にすることにつながると思います。しかし同時にその愛着を離れ、その対象を客観的に見ることも重要です。

掃除を通して自身の垢をとり心を綺麗にすることが、外の世界に繋がり、ひいては全てに影響を及ぼすよう願います。

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光村推古書院より「入江泰吉の詩情世界 万葉大和路」が出版され、長谷寺の風景(P94)も掲載されています。

奈良県の郷愁さそう写真を撮り続けた入江泰吉の写真とともにその場所で読まれた万葉和歌を紹介しています。万葉集の歌と入江泰吉の写真がとても情緒ゆたかです。

また、奈良市写真美術館ではこの出版に合わせ8月29日から11月15日まで「万葉大和路」展が行われます。合わせてご覧ください。懐かしさとともに新鮮で古代から変わらぬ人の心を感じられます。

しばらくご無沙汰をしておりました。紫陽花が色付き始めてから褪せるまでほぼ毎日雨が降っていました。この長く続く雨による水害は九州をはじめ西日本、中部、関東、東北という広範にわたり、被害も酷く、まずもってお見舞い申し上げます。

そんな中、7月20日の奈良新聞の見開き2ページ一面に長谷寺本堂の内舞台にアニメ化された歴史上の人物が座禅をしている画像が掲載されました。これはスマートフォン用ゲームアプリの5周年記念全国キャンペーンの一環だったのですが、内舞台に差し込む光がとても清々しく、鬱々とした世情を照らしてくれるかのようでした。

この内舞台は観音様を礼拝するための場所で、正式には礼堂と呼ばれています。観音様の在します正堂と屋根で繋がり、外舞台を加えて大きな本堂を形成しています。もともと観音様の前で慇懃にお経、ご宝号を唱えながら夢現に夢告を得るための場所でした。

今は法要に参列される方をお通ししています。ご本尊に祈りを捧げる場所ですから、毎日の作務(掃除)では浄巾を使い清めています。



毎朝の勤行でもこの場所にご案内しております。長谷寺の”祈り”の中心地である内舞台で、僧侶の力強い読経の声、大きな観音様を感じ、清々しい朝を迎えてください。また、勤行が終われば僧侶が列を成して皆様に「おはようございます」と大きな声で朝のご挨拶しますので、皆さんは負けじと声を張り上げ大きな声で返してください。

創建より続く朝の勤行、朝霧に霞み記紀万葉に詠われた山々、観音様の衆生を”救う”という深い誓願に喩えられる谷川、太古より勝地として神仏が住う場所にある長谷寺での朝のひと時は、きっと特別なものとなるでしょう。

NHK大河ドラマ「麒麟がくる」で話題の明智光秀が京都南丹市美山町にあったとされる七堂伽藍を有した門坊寺(聞法寺とも)を築城のため解体したそうです。その時、本尊は近くの寺に、仁王像は奈良の長谷寺に移したとされています。

京都新聞(NHK大河で話題、光秀が破壊した古寺 その知られざる数奇な運命とは)

残念ながら現在の長谷寺の仁王門は明治の出火で焼失しており、摂津三田藩城主九鬼氏により16世紀に作成されたとされる仁王像が安置されています。

この二体の仁王像についての繋がりは定かでなく、今後の調査に期待したいところです。門坊寺を破壊した明智光秀がどのような経緯で長谷寺に仁王像を移すよう指示をしたかわかりませんが、光秀が残した和歌は残っています。
   
   初瀬路や 思わぬかたにいざなわれ
      ふかくたづぬる 山時鳥(やまほととぎす)

門坊寺を破壊したのが光秀の晩年です。彼を取り巻く環境が複雑さを極めていた頃でしょうか。「思わぬかた」とは誰だったのか、どういう心境で詠まれたのか、想像するより他ありませんが、青葉美しい今の時期にお参りされたのかもしれませんね。

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初瀬路や思わぬかたにいざなわれ ふかくたづぬる山ほととぎす  #明智光秀 #光秀 が壊したとされる#門坊寺 そこにあった仁王像が長谷寺に来たとされています。その時に詠んだ歌でしょうか?夏のこの時期に長谷寺にお参りをされてるのかもしれません。 It is a poem by Mitsuhide Akechi. Did he also come to @hase_dera at this time of summer? #長谷寺 #奈良長谷寺 #総本山長谷寺 #花の御寺 #奈良 #hasedera #hasederatemple #temple #japan #japanesetraditional #pilgrimage #nara #tourism #sightseeing #japanesetemple #西国 #西国三十三所 #霊場 #巡礼 #四寺巡礼 #長谷寺が好き #麒麟がくる

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季節はいつの間にか夏、桜が咲く頃から始まった混乱が、一区切りを迎え、萌え出る若葉が緑の色合いを深めてきたこの頃です。

日ごとに気温が高まり、草木に生命力が満る、小満。紫陽花の花の芽がにわかに形を成し、来る芒種に向け、膨らみと色合いを整えつつあります。

長谷寺では毎朝、祈りを捧げるための場所である、礼堂内舞台を雑巾でなく、浄巾を使い拭き清めています。その後、周辺の拭き掃除をしています。

この浄巾はご寄付いただいたものを使っており、心ある方々により観音様はますますその威光を輝かせます。

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