長谷寺便り

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長谷寺の濫觴を語る、銅板法華説相図(国宝)が4月1日から5月31日の2ヶ月間限定で特別に奈良国立博物館より戻ってきます。

長谷寺開創道明上人が建立したとする説相図、その作成年代は7世紀末に遡り、そこには日本で最古の仁王様、金剛力士像が描かれています。

白鳳文化が奈良で彩っている頃に作られた金剛力士像は丸い顔に飛び出たお腹が愛らしく、まさに日本の力士という風体。

その他にも、欧陽詢のような書体で掘られた金石文や、三重塔の上部の相輪は法隆寺の多聞天像の持つ宝塔のそれとよく似ています。

細かい意匠に目をこらすと面白い発見がありそうですね。宗宝蔵には無料でお入りいただけます。ぜひご参拝の折りにご覧いただければと思います。

銅板法華説相図とは

2月9日、修二会結願だだおしを前に長谷寺のだだおし鬼が吉野金峯山寺にお参りをしました。

金峯山寺では全国の節分で追われた鬼達が集まってくるそうです。その故事を地でいく「鬼の夜会」長谷寺の他、興福寺、朝護孫子寺、大安寺、大和神社の奈良県下の鬼が集まりました。

間も無くの「だだおし」ですが、厳しい寒さが予想されるようです。お越しの際は防寒をしっかりして暖かくしてお越しください。


年が明けた正月8日、京都にある東寺(教王護国寺)では真言宗の各総大本山の猊下や長老方15名がこれから始まる御修法を前に精悍な面持ちで居並びます。

御修法というのは玉体安穏、鎮護国家の為に承和元年(834)宗祖弘法大師により始められ、翌年には大師自ら法要の要となる「大阿闍梨」を務められました。

以来、情勢不安などで中止された時期もありますが、脈々と伝えられている、真言宗にとって最大にして最高の法要であります。

平成31年己亥歳の今年は総本山長谷寺化主田代弘興猊下が大阿闍梨を務めました。長谷寺にとって大変喜ばしい事です。猊下は今年一年を真言宗の長者として日々の法務をいたします。

さて、御修法ではどのような事が行われているかというと、配役が割り当てられ法要の要の大阿闍梨、その成就を祈念して増益と息災の護摩が焚かれ、修法中に障りの無いよう五大尊と十二天を拝みます。

また、修法の仏果が倍増するよう聖天を拝み、諸仏諸菩薩から洩れた諸尊を供養するため神供が修されます。相伴として天皇の念持仏であった「二間観音」を拝み、一連の御修法が完成されています。

一般の方は修法している様子はおろか拝んでいるお堂(灌頂院)の姿さえ見ることは出来ません。なぜかと言うと天皇陛下の生年月日と本名が記された「御宝算」を見分するからです。

昔は生年月日や本名は特別な意味合いがあり、それを用い呪詛する事ができます。その悪用を防ぐために秘匿としているのです。

お堂の扉という扉を閉めるために堂内は真っ暗で、二つの護摩の炎と灯明が揺らめき、真言が朗々と響きわたっています。さながら常夜のような様相、密教の深淵が顕現しています。

この修法が21回繰り返させれ、初日の8日と中日の11日、最終日の14日には宮内庁から勅使が献香に来られ、まさに大法となります。

今年は譲位、改元の年、有り難い年となり、平安な歳になるよう切に願うところです。


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